この一つ前の記事で記事で書いた学習会に参加してきました。
保育つきだったので、保育園に迎えに行きその後会場の中野区役所に直行。子ども連れの保護者は私一人だったようで、娘は一人で保育士さんに相手をしてもらっていました。
この日の学習会は講師が一人で、元東京都福祉局職員で今は地方自治に関しての活動をされている方でした。
この日の内容はなにも中野区に限らず全国に適用されるものです。
今政府で進められている、待機児解消のための緊急的な施策と共に、大きな流れとしては保育園と幼稚園を一元化する新システム構想があるのですが、その問題点が細かく語られました。
前提として、保育園と幼稚園を一元化するいわゆる「幼保一元化」をして「こども園」を作ろうという構想が進められているのに対して、この会は区の労働組合の主催なので、保育士の立場からの危機感があるというのがありますが、実際に聞いてみると保護者(利用者)にしても危機感を持たざるを得ない状況・・・・・・。
まず、保育園を考えるにあたっての基本。
保育園についての基本的なことは「児童福祉法」に定められてるそうなのですが、何かしら事情があって、家で子どもを育てられない場合(多くは仕事をしている/するからですが、病気や介護、勉強のためというのもあります)を「保育に欠ける」と呼んで、それを解決する責任は市区町村にあるということ。
仕事したいけど子どもがいるんでしょ、それならその子どもにたくさんの保育料がかかるのも、保育園が少なくて大変なのも、産んで育ててるあなたのせいよ、という思想じゃないんですね。この児童福祉法に書いてある基本方針は憲法25条のバックがあって、ようは子どもの保護者だけでなく、公共団体も子どもを育てる義務があるよ、ということです。
そこで今問題になっている「待機児」ですが、これは実はもともとから法律で予定している概念ではないそうです。マスコミでも普通に「待機児」と言ってますからそれを毎日聞いている我々もそれが当然のように受け取って何も感じませんが、本来は、「公共団体が子どもを保育する義務がある」ので、みんなが保育園に入れるようにする必要があるのです。
昔は、入園申請をすると、入園の承諾をするか却下するかの判断をされていたらしいのですが、自治体(行政機関)が「却下」をすると、それに対して却下された側は訴訟や不服申し立てを行うことができます。そこでうったえられると困る役所側が考えたのは「却下」をしない別の方法。そこで「待機」という概念を作って運用し始めたということらしいのです。
子ども園の細かいところまではこの日は話はありませんでした。というのもまだ細かいところを国レベルで詰めていないから。今月に入ってから内閣府の特命チーム(あの村木厚子さんが入っているということで少し注目されましたが)が動いたり、子ども園についても当初の予定を繰り上げて早く実現させようという命令が首相から下っているらしいですが、保育料の負担がどうなるのか、幼保一体でそこで現状働いている幼稚園教諭・保育士はどうなるのか?などはまだ決まっていないようです。
とは言え、こういうことは決まってからあれこれパブコメで意見を出してみたり反対を唱えても時すでに遅し、ということが多いので、こういう講師の先生のようなアンテナの利く人が現状ある情報から政府がどうしていこうとしているのか占うことはとっても大事だと思います。
現状わかっているものでこの日説明があったものをかいつまんで書くと……
子ども園では、朝から午後2時ごろまでが幼稚園にあたる「教育」を行う時間、その後が保育。
今の保育園の方式だけでなく、親のニーズに応じて短時間・長時間・夜間……のいろんな「預けられる場」を作る。
というような話。まぁ国のやることですから、1番目は縦割り行政的思考からやっぱり抜け出られないかなと言う気はしますが……。
ただ問題なのは、上に述べた「児童福祉法」が改正(改悪?)されて、自治他の保育義務そのものが外されようとしているということ。そうでなくとも、小泉政権の頃から(いわゆる新自由主義思想にのっとって)保育園については国の出す額は減ってきて市区町村の負担が大変重くなっている。そこで市区町村の義務を外せばどうなるか?火を見るより明らか。個人個人が負担してよ、ということです。
今でも「認証保育所」は「認可保育園」よりも条件が悪いにもかかわらず保育料は高い。それは業者からすれば設置のハードルが低くて構えやすい代わりに市区町村の助成割合が少ないからだと思います。
2番目の長時間・短時間のさまざまなサービスが可能、というのは一見魅力的です。でも、これは保育士や実際に預けてみた保護者でないとわからない不都合があります。
子どもは大人以上に生活のリズムが一定していないと不安です。家で専業主婦で育てている人も変わらない認識だと思うのですが、子どもの一日のスケジュールは大体一定にしておかないと、親の勝手であちこち連れまわしたりすると不機嫌になって泣き喚いたりして大変です。散歩・外遊びはできるだけ朝食~昼食の間にして、昼食の後はお昼寝、その後は外遊びする場合もあるかもしれませんが、親としては夕飯の買出しやらもありますから一緒に外出することもありますね、こんな風にスケジュールを組んでおかないといけない。
預ける時間が便利になることと、保育料が自己負担になる(=高くなる)のが一緒になると、保護者としては、「必要最低限しか預けない」という思考回路になります。今でもできるだけ保護者が仕事が終わったら早めに迎えにいくとか、遅くでる方の親が預けに来てください、というように、できるだけ「子どもと親が一緒にいる時間が多くなるように」と言われますが、それでも朝9時ごろから午後4時頃までは保育園のスケジュールが敷かれていて、それにのっとって子どもたちは生活を送っている。それがめちゃくちゃになってしまうのです。
保育園では日々のレベルでは散歩など、月間・年間レベルでは運動会、七夕会などをみんなで集まってやりますが、保育時間がばらばらだったらそういうイベントもやりにくくなる。かなり子ども時代を送る園生活の質が下がるわけです。
ただ、今まで以上に空恐ろしい気持ちになるのは、この幼保一元化は、この経済が行き詰っている状況下で産業化して解決しよう、としているところ(これは保育以外に福祉全般に適用されようとしています)。私自身は、「産業化」そのものに対して反感はないのですが、問題は実際の中身がどうなるのか?というところ。
利潤を追求すると、おのずと「コストは削れ」という思想が生まれます。仕事を一旦休養して子どもに接する生活を経験してみて個人的に感じたのですが、子どもを育てる過程には余裕が必要。建物が安全性がないといけない、というようなハード面はもちろん、やはり一番は、面倒を見る保育士他の人たちが余裕をもっていい気持ちで毎日子どもたちに接することができること。そして体によいものが食べられること。そこにはやはり費用がかかるんです。
その面で、やはり公的な機関がやるべきことってあるんだと思います。福祉が利潤第一主義の「会社組織」にそぐわない面があるのは認めないといけないのではないかと思います。
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